■今週の市場展望
著者:青柳孝直事務所
6/30号
『特集:再び注目を集めるタックスへイブン(オフショア市場)』
- まずタックスへイブン(オフショア)とは何か。タックスヘイブンとは、税金が全く課せられないか、課せられるとしても著しく低い税率が適用される国や地域を指す。有名な場所としては、ケイマン諸島や、バミューダ諸島、マン諸島などが上げられる。
- タックスへイブンの起源は古代ギリシャ、およびローマ帝国にまで溯る。そして現在のようなシステムが確立するきっかけとなったのが「ユーロダラー(米国外で預金され、貸し出されるドル)」の誕生だった。
- そのユーロダラーを使って行なわれる国際金融取引については、その国の通貨管理当局の規制を受けないことが認められたため、1960年代以降、ユーロダラーでタックスヘイブンを活用する動きが広がっていった。
- 21世紀に入って、マネーの国際移動が自由化される一方、税制度は国際間で異なるために、可能な限り税負担を小さくしようと、世界中の企業や個人のマネーが、競うようにタックスへイブンに流れ込んでいる。
- 国際通貨基金(IMF)の推計では、日本の国内総生産(GDP)の規模に匹敵する約5兆㌦がタックスヘイブンに流れ込んでいるとされる。個人や企業にとっては、タックスヘイブンは便利な存在だが、各国政府の立場からすれば、マネーの国外逃避という形で、国家主権を脅かす危険な存在となる。
- 一方タックスヘイブンは、犯罪資金・テロ資金の隠匿など、マネーロンダリング(資金洗浄)にも利用される。最近の事例では日本の闇金融グループの「五菱会」のマネーロンダリングも話題となった。ただ現実に、政局不在で(不必要に)高い税率を課せられれば、一方で、現実にタックスヘイブンというシステムが確立されている以上、大規模な資金逃避が起こる可能性は否定できない。
- 日本の場合も、巨額の財政赤字や政府債務残高を抱え、大幅な増税が不可避とされているが、(1箱千円という笑い話のような)たばこ税のように、無理矢理増税をしようとするスタンスが明白になれば、タックスへイブンに対する資金流入の流れは止められない。
- この20年の流れの中で、1990年代前半、つまりは日本のバブル時代には「原則自由」の建前の中で、タックスへイブンにおける、口座開設あるいは、資金逃避は比較的容易ではあった。ただここにきての世界的な緊縮財政の中で、タックスへイブンでの口座開設、あるいは資金の移動は簡単ではない。しかし“外・外”、つまりは日本国外で発生した(=得た)資金をタックスヘイブンに流すことは比較的容易である。
- 日本を含めた先進諸国は、国家主権を脅かす資本の自由化、その申し子であるタックスヘイブンといかに折り合いをつけていくか。真剣に考える時期である。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。
連絡先:
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〒107-0052
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FAX:03-5573-4857
書籍紹介
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ISBN:978-4-86280-068-8
定価:1,365円
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ISBN:4-89346-913-4
定価:2,520円
















