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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

10/17号

『特集:時価200億円。日本製サイボーグ』
  1. 10月なのに真夏日が続いた日々から解放され、ようやく秋らしくなった。多分「秋という期間」は短く、すぐに冬になるのだろう。とは言え、読書の秋、そしてスポーツの秋である。特に最近では、IT技術の進捗で、日本のスポーツばかりでなく、世界のスポーツ番組がたっぷり堪能できる。かくして今週もまたスポーツネタであります。
  2. 日本のプロ野球のエキサイト・シリーズ&日本シリーズ、米国ではMLBのポストシーズン、サッカー・W杯最終予選等々があり、ついでに13日から始まったゴルフ・日本オープンでは、松山英樹+石川遼+アダム・スコット(豪)の「米ツアー3人衆」のプレーがたっぷり視聴できた(NHKBS1)。愛好者にはたまらない展開である。
  3. 野球に関しては、ほとんど同時に、日本のプロ野球とMLBのホットゲーム(真剣勝負)が見れることで自然と実力の比較ができる。その中で誰の目にも分かるのは「日本ハムの大谷翔平はもはやMLBでも最上級の扱いをされるだろう」ということである。
  4. コントロールを重視し、八分目の力で投げて160㌔の連発、140㌔後半のフォークを投げる先発型投手はMLBにも見当たらない。日本においては「異次元の選手」であり、今の段階でMLBのポストシズーンに参入していっても相応の結果を残すだろうという点において、反論する者はいないだろう。
  5. 問題なのは「大谷が投打において一流である」という点である。評論家からは「邪道」言われながら大谷の投打二刀流はスタートした。だが11.5ゲーム差のあったソフトバンクを倒した4年目の今、諸般の非難は完全に消え去った。「投手で打順一番、第一打席本塁打」は劇画でも想像できない世界だった。あきれて、ただひたすら笑うしかない。それが「別次元の大谷ワルード」ではあった。
  6. 今年の大谷の投手としての成績は10勝4敗、防御率1.86、打者としては打率3割2分2厘、本塁打22本。今年の日ハム・栗山英樹監督の“出したいという誘惑”の中で、疲労に配慮し、ギリギリの判断の中で大事をとった結果、投打ともに規定投球回数、打席に達せず、個人記録の面では名を残せない。
  7. だが今年の大車輪の活躍は、日本シリーズで4連投4連勝した杉浦忠、シーズン42勝の稲尾和久(西鉄)など、昭和の英雄たちに通じる劇画的なスター選手となった。長嶋茂雄巨人軍永久名誉監督は「ミスター」、松井秀喜は「ゴジラ」。プロ野球のスターには愛称がつけられるが、大谷が呼ばれ始めた愛称は「サイボーグ」。
  8. 大谷の近い将来のMLB行きは規定路線。個人的な意見を言わしてもらえれば、二刀流をそのまま継続するのではなく、投手にも打順の回るナショナル・リーグに「投手として入団」を期待したい。投手大谷の肩は「酷暑の夏の甲子園で使い切っていない」からである。かくしてサイボーグ・大谷の時価の評価は(最低で)「8年契約200億円」。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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