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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

5/23号

『特集:名門ヤンキース低迷の理由 -MLBの経済学-』
  1. 米大リーグ(MLB)が始まって約1カ月半。「朝から野球の日々」が続いている。だが例年のようにMLBだけに熱中することはない。理由は簡単である。MLBだけでなく、錦織圭のテニス、松山英樹のゴルフ等の中継が混じるからである。
  2. 錦織圭や、松山英樹はもはや世界的なスターと言って言い過ぎではない。ごくごく普通に優勝戦線にからみ、従来では考えられなかった「世界のベスト10の世界」にいるからである。優勝賞金が億円単位の高額であり、ある意味で「世界の最高額の“ハンターの世界“」にいるという“実戦的&戦闘的”雰囲気が見る者を熱中させるのである。
  3. 昨今のサッカーもそうだが、団体競技となると、3年から5年の年間契約が普通であり、その契約締結に代理人も混じえることで、スポーツを介在したビジネスの色合いが濃くなる。それが“今日はだめでも明日があるさ”の安易な雰囲気を醸し出す。それが時には真剣さに欠けたダルイ感覚になってしまう。致し方ないことではあるが。
  4. 1995年の野茂英雄を原点に、MLBに活躍する日本人選手は多くなった。イチローや松井は別格として、すべからく投手が中心なのはご存じの通りである。押し並べて甲子園で活躍したこと、甲子園の体格から20㌔以上の増量をしている点もまた似通っている。
  5. そして特に夏の甲子園で肩を酷使し、日本の球界での酷使を経てMLB入りし、MLBのボールに馴染めず、肘や肩をやられる点もまた似通っている。松坂、ダルビッシュ、田中など、全てそのパターンである。下半身強化ではなく、上半身強化中心のトレーニングで、結果的に肘・肩が悲鳴を上げるというのが最近のパターンである。
  6. ヤンキースはゴジラ松井がMVPを獲得してワールドシリーズを制覇したのが2009年。しかしそれ以降、12年の地区優勝を最後に優勝から遠ざかっている。今年はリーグ最下位に低迷している。原因は何か。それは巨額の不良債権を抱えるからである。
  7. ドジャースとMLBの金満球団1、2を争うヤンキースの年棒総額は2億2600万㌦。しかしそのうちの1億9000万㌦が長期契約で固定化しており、実際に補強に使える費用は2700万㌦。不良債権の筆頭は年棒2500万㌦のサバシア(35)。そして2250万㌦のタシェアラ(36)、2100万㌦のエルズベリー(32)、2000万㌦のA.ロッド(40)、1500万㌦ののベルトラン(39)などと続く。田中将大(27)の年俸も2200万㌦。
  8. サバシアなどは体重が130㌔もあり、まさに日本のお相撲さん。田中にしても100㌔あり、もはや野球選手のそれではない。田中は肘を手術して以降は体にキレがなく、いかにも重そうに見える。今や急速130㌔台中心の変化球投手である。
  9. 今のヤンキースは高齢・高給取りの“やる気ない”集団と化している。“な~に格段頑張らなくても給料は変わらない…”かくしてNYヤンキースの低迷は続き、試合も面白くない。低迷の理由はMLBも一般企業も同じのようである。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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