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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

12/26号

『特集:「ドル建て日本国債発行」の可能性を検証する』
  1. 日本国債は日本の個人資産で賄えているから大丈夫だと言われてきた。ではその個人資産とは何か。それは日本国民の、日本の銀行に対する預貯金である。日本の銀行(郵貯を含む)は、大口の貸出先もないまま、半ば強制的に日本国債を買わされてきた。
  2. 現在、発表されている(通常引用されている)日本の個人資産は1,400兆円。しかしその1,400兆円は住宅ローン絡みの資金も多く、東日本大震災や、日本の空洞化経済による住宅ローン不良債権化の波が押し寄せている。
  3. 要は日本の個人資産1,400兆円は、(あくまで推定だが)20%減の1,200兆円程度にまで減額してしまっているのではないか。そして毎年50兆円の恒常的な赤字国債の発行、また今回の東日本大震災の復興資金として総額100兆円程度の資金が必要と考えれば、日本がこれまでに積み上げてきた借金1000兆円を含めて、日本の財政はほぼイーブンに近くなってしまっているのではないかとも考えられる。
  4. あの慎重居士の野田首相が増税路線一直線なのは、日本の財政事情が必要以上に逼迫しているのではないか、と考えても不思議ではない。結論的には、日本は、財政赤字を海外に頼らざるを得ない状況に近づいているのではないのだろうか。
  5. いずれにしても21世紀は、米国ドル、欧州ユーロ、中国元のいずれかの支配下に入らざるを得ず、究極の三択の世界に入るものと思われ、その中で最終的な選択を強いられるものと思われる。
  6. 日本の財政が逼迫すれば、その資金を充填せざるを得ない。その矛先はまず、世界第二位の保有高を誇る米国債にも向かう。ご存じのように、現在の米国には債務返済できる状態にはない。仮に無理矢理請求すれば、日米安全保障条約は破棄され、日本は丸裸になる。と当時に、国債の大暴落となり、世界経済自体が崩壊する。

    こうした中で現在、財務省が「ドル建て日本国債」を密かに計画していると噂されている。日本が「ドル建て日本国債」を発行するには「米国の庇護」が絶対条件である。
  7. この根幹のシナリオの中で考えられる条件は以下のようになると思われる。「日本の流通通貨は、円を廃止し米ドルとする」「日本の、米国債返還請求権の放棄」「日本の隠し資産(いわゆる埋蔵金等のプラス資産や、隠れ借金等のマイナス資産等)を洗いざらい探り出し、日本の財政事情を明確化する」
  8. 最終的には「日本は米国の(実質上)米国の支配下に入る=米国の金融方針に沿った国になる=属国になる」ことになるが、第二次大戦以降、営々と築かれてきた官僚制度も必然的に崩壊することにはなる。結局、日本がこのまま生き残るためには、「日本国内でドルが使われる世界」を容認せざるを得ないものと思われる。
  9. ではその時期はいつか。このままであれば2015年がテーマになるものと思われる。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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