■今週の市場展望
著者:青柳孝直
12/12号
『特集:吹き荒れる橋下旋風と、今後の日本の政治』
- 注目されていた11月27日の大阪ダブル選挙。開票が始まった午後8時、NHKでは大河ドラマの開始と同時に“橋下当確”の速報テロップが流れた。開票0%で当確?とは思ったが、橋下徹代表率いる「大阪維新の会」は圧勝した。
- 大阪市庁舎は中之島という場所にあるため、大阪市役所労働組合約500名と、大阪市従業員労働組合の約7000人の組合員を中心に、現役およびOBを含めて“中之島一家”と呼ばれてきたそうである。
- 今回の市長選挙では、橋下氏が導入しようとした「職員基本条例案」と「教育基本条例案」が最大のテーマとなった。上記2例案は、市の職員や教員を5段階で相対評価し、2年連続で最低のDランクの場合、処分対象にするというもの。
- こうした流れに危機感を持った“中之島一家”が一丸となって平松前市長の支援に回り、総力戦で挑んだものの、あえなく敗北を喫することになった。選挙前では橋下氏が市長になれば、数百人単位で職員が辞表を提出すると言われていたものの、今のところ誰も辞表を出していない模様である
- 今回の市長選挙では60.92%という投票率も注目された。普段は選挙には無関心の、若者や女性層が投票に行ったのは確かなようである。そうした“無関心層”が「維新の会に大阪を変えて欲しい」と意志を明確にしたのである。
- ファシズムをもじってハシズム揶揄される橋下氏の政治手法は「数の論理」。勝てば官軍という姿勢は、確かに民主主義社会の風情ではない。もし今後大阪都構想を推進する上で市議会が障害になると思えば、リコールという強硬手段さえ取りかねない。
- 地方自治体は「(一種の)大統領制」である。しかしこれまでの首長はナアナアの感覚でやってきたし、議会との対立の図式などがあって、十分に機能することがなかった。石原慎太郎東京都知事も、河村たかし名古屋市長も改革に邁進したが、対立する議会の存在があり、一定の制限を受けてきた。
- ところが今回の大阪では、大統領制の力と怖さを知った人間が議会まで牛耳り、それを最大限に利用しようとしている。橋下氏は、一連の環境を一気に変えようと試みているのである。“面白がり”の大阪人が、橋下氏に“一度やらせてみよう”となった。
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元々大阪人には自発的なエネルギーがあった。例えば世界最古のコンクリート建築である大阪城天守閣は「大阪には大阪城が必要だ」と、市民が再建したもの。そうした底知れないエネルギーを阻害していたのが府庁や市役所に巣食う役人だった。橋下氏は、そうした“大阪を斜陽都市にした”大きな壁に挑戦していることにはなる。
「大阪維新の会」に国政が追随しようとする雰囲気が出始めている。問題は山積しているが、今の閉塞感を一新するには、橋下氏のような“蛮勇”が必要なのかもしれない。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。
連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
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書籍紹介
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ISBN:978-4-86280-068-8
定価:1,365円
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ISBN:4-89346-913-4
定価:2,520円
















