■今週の市場展望
著者:青柳孝直
7/12号
『特集:「W杯日本16強」の検証』
- 元々サッカーは日本には馴染みの薄いスポーツだった。英独仏を除けば、「欧州の弱小国や中南米の後進国中心のスポーツ」とのイメージが強かった。4年に1回のサッカーの祭典・ワールド・カップ(W杯)も、日本は全く無縁だった。
- サッカー王国と呼ばれる中南米のブラジルやアルゼンチン、欧州の強豪と言われるスペインやポルトガルも「国家財政に問題あり」とされる国々ばかり。そして最近ではアフリカの国々が強豪国の仲間入りしているが、その国々も状況は同じである。
- サッカーはボールひとつさえあれば、世界中の路地裏で一人でできるスポーツである。他のスポーツも国際化し始めているが、例えば野球は、ボールから始まって、グローブやバットも必要である。「国家財政とサッカーの隆盛」、言葉を変えれば「貧乏国ほどサッカーは強い」という論理は、歴史的に見てもまさに正論なのである。
- 「なぜサッカーが新興国に盛んなのか」とういう命題に対する答は、「経済弱小国が、サッカーを通して経済大国を打ち負かすことができる」からである。サッカーの国際試合は模擬の戦争である。過去にはサッカー試合の裁定を巡って実際の戦争も起きている。第二次戦後、経済大国にのし上がった日本には「江戸の敵を長崎で」といったニュアンスをサッカーに求めてこなかった。それは米国も同じ、と言うより全く必要がなかった。
- その意味では、日本のサッカーが世界の舞台で通用しなかったのは当たり前なのかもしれない。1930年の第一回大会からすべてのW杯に出場し、今回の南アフリカ大会まで92戦5度の優勝を誇るブラジルと、98年のフランス大会で初出場を果たし、過去3大会で10戦しかしていない日本とでは、経験値や考え方の開きは余りに大きい。
- 確かに「今を生きる選手に過去は関係ない」という見方もある。ブラジルもW杯初出場の選手がいる。「初」という点では五分と五分だから引け目を感じる必要はないと。しかし国としての歴史(記憶)の蓄積は、最後の最後に必ず出る。それがサッカーというスポーツの根源のように思う。だから国全体が熱狂するのである。
- 今回の大会前、日本代表チームが掲げた「4強」の目標が“愚者の夢”のように語られた。その“逆境”チームの16強進出は、世界を驚かせるには至らずとも、日本国民に驚きと喜びをもって迎えられた。
- 大きな原因は、日本代表チームが、これまで“日本らしいor日本伝統”と言われ続けてきた“蹴球(しゅうきゅう)の世界”から抜け出したからだと思う。平安時代の貴族の遊びであった蹴鞠の流れを汲む「パス・サッカー」から、それが窮余の一策であるにしろ、脱皮しよう試み、偶然にも成功したからである。
- W杯サッカーは“(優雅な)蹴鞠の世界”ではない。極端に言えば体を張って戦う“戦争”である。日本の敵地での16強入りは、“大きな転換点”であったように思う。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。
連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
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書籍紹介
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ISBN:978-4-86280-068-8
定価:1,365円
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ISBN:4-89346-913-4
定価:2,520円
















