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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

6/21号

『特集:2010年宇宙の旅「はやぶさ」の奇跡』
  1. ワールドカップ・サッカーで、アウェイでの歴史的初勝利に沸く日本だが、実は更にレベルの高いニュースが流れているのをご存じと思う。3億㌔の彼方を7年かかって往復した和製・小惑星探査機「はやぶさ」である。
  2. 最初に「はやぶさ」計画が持ち上がったのは1985年。そして「はやぶさ」による小惑星のサンプルリターン計画が、関係者に拠れば半分ハッタリで、計算も根拠もないまま公表されたのが1993年。その計画理由として「小惑星は熱による影響を受けておらず、太陽系誕生時の状態が保たれているため、試料を持ち帰ることは意義がある」。
  3. 探査機の命名に関しては「アトム」が最有力候補だった。しかし「原子爆弾を想起させる」との意見が出たため「はやぶさ」に変更された。「獲物に飛びかかり、素早く離脱する」という、小惑星の表面物質採取・帰還任務の成功を願う気持ちがこめられた。
  4. ただ海外の関係者からは「宇宙探査後進国・日本にできるのか」といった、冷ややかな目で見られていた。米NASAは、こうした画期的な計画には10年で1000億円は拠出する。日本の場合、文字通りケタが違っていた。今回の計画の予算総額210億円。うち機体の開発・製作費は127億円。日本国民一人当たり約200円弱の出費だった。
  5. 惑星探査機は「大きな体にたっぷり燃料を積む」のが通例だったが、日本の技術陣が開発したのは、「はやぶさ」の看板技術となるイオン・エンジン。このエンジンはジエット噴射機と比較して積載燃料が約10分の一で済むという画期的なもの。
  6. 機体の製作にはNEC・東芝を中心に多数の民間企業が参加、“この場限り”として企業秘密を明かし合い、長らく未解決だった技術的な問題を克服した。「はやぶさ」という1.5メートル四方の小さな機体には日本の知恵と技術の粋が結集されていることになる。
  7. かくして2003年5月9日、日本の期待をこめた「はやぶさ」は鹿児島県・内之浦基地から打ち上げられた。そして日本時間2010年6月13日、地球に生還した。月以外の天体に着陸した探査機が地球に生還するのは世界初の快挙である。
  8. 深宇宙は60億㌔、時速300㌔の新幹線が114年かかると言われている。その深宇宙で、最先端機器を通して電波指令を送り、戻ってくるまで40分かかる距離が3億㌔全長500メートル小惑星「イトカワ」の試料を持ち帰っているかどうかが話題になっているが、大した問題ではないと思う。世界に先駆けた技術を、これでもかと世界に見せつけたことがとてつもなく大きい。技術大国・ニッポンの“誉(ほまれ)”であろう。そして不況ニッポンに一筋の光明を、というより元気を与えてくれた。
  9. 耐熱加工したカプセルを分離後、「はやぶさ」本体は大気圏に突入後燃え尽きた。「はやぶさ」は与えられた指令に最後まで忠実だった。そのせつない姿に、昔日の「神風特攻隊」を想起させた。どうもありがとう、そして御苦労さま「はやぶさ」!!
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
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TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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