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■今週の市場展望

著者:青柳孝直事務所

11/02号

『特集:ゴルフ人気復活の背景を検証する』
  1.  日本ゴルフ場事業協会の統計に拠れば、ゴルフ場の延べ利用者人数は、1992年度の1億232万5000人をピークに減少傾向が続いていたが、2007年度の8902万人で前年度から1%の増加となり、以降3年連続の増加傾向にあるとしている。

     業界の見方としては、「90年代初めのバブル崩壊以降、料金が下がり続け、ようやく若者の手の届くプレー料金となった。低価格化の火付け役となったのが、パシフィックゴルフマーネジメント(PGM)とアコーディア・ゴルフである」
  2.  PGMは米投資ファンド、アコーディアは米証券会社が立ち上げた会社で、同二社は日本のゴルフ場を次々と買収し、チェーン展開を始めた。それぞれ全国で約130ヶ所で運営し、日本一の座を争っている。
  3.  買収先として狙いを定めたのは経営が悪化したゴルフ場。買収価格を抑え、低コストの運営を可能にした。さらに早朝プレー、夜間のナイター、キャディを使わないセルフプレーなど、低料金のプランを用意し、若者を中心とした利用者を広げていった。
  4.  結果的に料金体系に大きな変化が出始めた。平日であれば、交通費・食事代を含めて一人10,000円でおつりがくる状況になった。またそうした低料金化と共に、ゴルフ場に敷設されたレストランや風呂を積極利用しようとする流れも盛んになり始めている。
  5.  例えば、クラブのレストランを近隣住民の同窓会やイベントで使用する、休憩用の和室は結納や法事、七五三のお祝いなどに利用する、などと多岐に亘るようになった。要は地元住民の「社交場」になり始めたのである。
  6.  そして、地元の小・中学校の課外授業を受け入れるなど、教育の一環として、子供を取り込む動きも広まり始めている。小・中学生がゴルフ場の芝生の手入れなどを体験した後、親や教師と一緒にプレーを楽しむといったプログラムである。
  7.  最近の男子プロゴルフ界は、石川遼(18歳)や池田勇太(23歳)に代表される超若手選手の活躍によって生き返っている。また女子プロゴルフ界も、宮里藍や上田桃子に代表される、20歳代前半の若手選手の世界を舞台にした活躍も目立っている。何にもまして、10年前とは比較にならないくらい“おしゃれで、きれいな”女子プロが話題を集めるようになっている。
  8.  女子の場合、ごくごく普通の体格の女性が活躍するものだから、「ひょっとしたら私にできるかも」とか「あのゴルフウェアは可愛い」と言い始める一般女性が増えている。若い女性が動けば、おのずと若い男性も動き始めるといったいつものパターンである。
  9.  かくして日本では、バブルの代名詞であった”接待ゴルフ”から、ようやく”スポーツ”としてのゴルフが認知され始めている。元々ゴルフは”紳士(だけ)の”スポーツではなく、万民が気軽に楽しめるスポーツあった。これも時代の流れではある。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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