インタビュー

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【平塚俊樹さん (1)】エビデンサーの仕事 ‐戦略的調査‐

『Lawより証拠』の著者であり、また最近ではエビデンサー(証拠調査士)としてTV、ラジオなどにもご出演中の平塚俊樹さんにお話しをお伺いしました。

(聞き手:編集部 関)


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--まずは基本的なことからお伺いしようと思うのですが。あらためてエビデンサーとは何なのか、ご説明していただけますか?

一般の用語に当てはめると“調査”、法律の専門家的にいうと“コンサルタント”ということになります。日本では、この“コンサルタント”というのは別な意味で使われることが多いですが。一方、“調査”といってしまうと、日本では探偵を指す言葉になってしまいます。世界の常識では、“探偵”と“調査”はまったくの別物なんですけどね。

--“調査”っていうのは、日本独自の言い回しなんですか?

そうです。いつの間にか、言い方が変わっちゃったんでしょうね。“探偵”というのは、探偵業法という法律で職務が決まっているんです。例えば、尾行とか張り込みとか。

--そんな法律があるんですね。

そう、この探偵業法は去年(平成19年)できました。いわゆる、尾行だとか張り込みをやる人は探偵と呼ぶと。その影響か、これまで似たようなことをしてきた、調査会社というのはほとんどなくなってしまいました。ところで、我々がいう“調査”というのは、(裁判所や弁護士など)法の番人に対してさまざまな調査や事実確認をしながら、どうやったらクライアントを勝たせることができるかを、戦略的に考え調整することなんです。戦争では、偵察機をいうのを飛ばしますよね?あれが近いと考えてください。“調査”というより、我々は“偵察”といっていますが、戦闘に勝つためには偵察機の役割が重要だと考えれば、我々の仕事がおわかりいただけると思います。
--もともと、平塚さんの肩書きの候補として、偵察員という名前の候補もありましたよね?

中国では、実際に偵察員と呼ばれています。でも、軍事マニアのような響きがしたのでやめました(笑)

--では、エビデンサーの仕事とは、勝つためにやる準備や調査をするということですか?

そうです。“能動的な調査”と言い換えてもいいかもしれません。探偵がやるのは、あくまでも“受動的な調査”ですから。浮気の問題を考えるとわかりやすいかもしれません。探偵がやるのは浮気相手と会っているところを撮影する、事実をつかむとかそういうことです。しかし、我々は違います。事実確認だけではなく、どうしたら浮気をやめさせることができるのか。浮気された女性は、浮気相手を懲らしめればやめると思っていますが、実際にはそうではありません。そこのところを戦略的に進めるのが、我々の“調査”ということです。

--この、戦略的というのが重要なんですね。

そう、クライアントはただ浮気をやめさせたいだけなのに、弁護士に相談にいくと情報が食い違ってくる。法律的な相談をすると、結果的に離婚に話が進んでしまうのです。でも、実際には離婚はしたくなかったと思ってる人がたくさんいるんです。

--日本には、こうした調査員やエビデンサーという仕事をしている人はほとんど認知されていないと思いますが、法律の整備もまだ進んでいないようですね。

海外、特にアメリカなどでは、調査の人っていうのは社会的にも地位が高くて、ある意味選ばれた人たちなんです。しかし、一方では調査に関してちゃんと規制をかけています。調査というのは強大な力を発揮することもありますから。また、弁護士の側にも法律事務職(パラリーガル)という人がいて、調査をやってくれます。それはなぜかというと、海外には懲罰的賠償というのがありますから。調査を依頼するのは経済的に負担がかかります。しかし、懲罰的賠償があるおかげで勝てさえすればお金が入ってきます。ところが、日本ではこうはいきません。

--平塚さんのお話をお伺いしていると、懲罰的賠償という言葉がよく出てきます。これがあるかないかで随分と違うということですか?

親しい弁護士さんに聞くと、そこがキモだって必ず言います。懲罰的賠償さえあれば、日本の司法改革はもっと進むんだって。ただし、そのためには陪審員が絶対必要なんです。そのための第一歩として、裁判員制度が導入されるんですね。まずは、刑事裁判について。

※次回「裁判員制度とトラブルに巻き込まれない方法」につづく
(2008.11.11)

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【参考】

「探偵業の業務の適正化に関する法律」等の概要(警視庁)
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■エビデンサーのホームページ

平塚 俊樹(ひらつか・としき)

証拠調査士(エビデンサー)。武蔵野学院大学客員教授。

大学卒業後、大手不動産会社と東証二部上場メーカーに勤務。

在職中、営業職ながらクレーム処理も担当する中、あまりにも悪質な事件が多発したために警察の暴力団対策課にて対応トレーニングを積む。

その後、自ら欠陥住宅を買ってしまったことにより、大手ゼネコンを相手に弁護士も逃げ出すほどの死闘を演じ、最終的に完全勝利。この経験からトラブル解決のノウハウを確立する。

また、同様のトラブルを抱える人たちへのアドバイスを通じて、弁護士、弁理士、医師、鑑定人など、各ジャンルの専門家との間に人脈が広がり、そのネットワークは、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカといった海外にまで及んでいる。

これまで数千件にものぼるトラブルを解決に導き、現在も相談・依頼がひきもきらない。

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