インタビュー

一覧へ戻る

【小池真由美さん (2)】英語上達への道

先週に引き続き、『21日間でネイティブの発音になる 英語発音トレーニングキャンプ』の著者でいらっしゃいます、有限会社エスパリエ代表取締役・小池真由美さんに、英語が上達するコツなどについてインタビューさせていただきました。

【インタビュー 全2回】 (聞き手:編集部 斉藤)


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
◎英語上達への道

――小池先生は東京、大阪、神戸と各都市で月一回セミナーをやられているわけですが、そこへはどういうレベルの方がいらっしゃいますか?やはり、発音を勉強したいっていう人はある程度レベルの高い人なんでしょうか?

TOEIC800点以上だったりとか、やはりレベルの高い人がいらっしゃいます。あるいは、英検一級の試験で筆記は合格レベルだけど発音が悪くて、それさえ良ければ受かるというような方もいらっしゃいます。一方では、お忍びといっては何ですが(苦笑)、学校の先生が相談にこられるケースもあります。

――確かに、この発音で学校の先生やってていいのかな、なんて思ったりすることも…(苦笑)。

私の時代には発音の上手な先生なんていなくて、いたらかえってからかわれるくらいでした(苦笑)でも、先生が堂々と英語の授業のときに正しい発音をしていれば、子どもにはちゃんと伝わるし、バカにされることもないはずです。だから、学校の先生に発音トレーニングをやっていただくのはとても良いことなのではないかと思います。

――中学で習った音とネイティブの発音を聞くと、まったく違う言葉になってしまっている。これは問題だと思うのですが?

はい。やはりギャップがあると思います。

――それでは、発音が身についたら、それをどう仕事で活かすかという点でアドバイスはありますか?

まず、せっかくしゃべれるようになったら、すでに英語が必要とされる分野から抜け出してみることをご提案します。例えば、商社なんかはみんなが英語をしゃべれる環境です。そこでは、英語ができるのはあたりまえだと思われるかもしれません。しかし、まったくそういうこととは無縁だった製造業などにいくと、すごく必要とされていたりすることもあるんです。製造業でもいろいろとあると思うのですが、これから海外進出したいっていう企業に売り込んでみるとか。もしかしたら、最初は事務員かもしれない。でも、それに英語をプラスしていったら、自分の新しい価値を見出していくこともできるんじゃないでしょうか。

――確かに、大手企業が日本の技術を必要としている現在、町工場のクライアントが必ずしも日本の企業とは限らない時代ですからね。地方の工場でも、英語が必要とされているかもしませんね。

そうなんです。そうした技術を持っていても、世界に発信できていない企業というのは結構あると思うんです。それをちゃんと発信できれば、おもしろい展開が待っているんじゃないでしょうか。先ほど言った“欲望”というのは、そういうことなんじゃないかと思うんです。新しい世界を開くために、英語をツールとして使ってもらいたい。ビジネスの場では極端な話、専門用語だけできればいいんじゃないかと思うんです。だから、実際プライベートで教えているときには、コーチングのような形になります。「何が欲しいですか?」っていうところから始まって、そこの軸がなるべくぶれないように気をつけています。そして、その軸がぶれないでいければ、もう隣の分野も別のステージもしゃべれるようになったも同然ということをお伝えしたいです。

――本を作る上でもっとも気をつけたのが、シンプルに伝えたいっていうことだったので、その部分のメッセージは凝縮された感じがあります。

斉藤さんにもコーチングされましたね(笑)本作りははじめてだったので、今考えると自分でもぶれていたんですね。あれも入れたい、これも入れたいって。でも、「いや、それはダメです」って。発音記号でも、普通だったらこう入れるだろうなっていうところもあったのですが、どうしたら見やすいかっていうことにこだわって、(書店で)手に取ってトレーニングを最後まで続けてもらえる本にしましょうと言ってくれたのが良かったです。
――では、仕事の話しから少し離れて。元々、学校の先生の影響で英語を勉強するようになったというお話しでしたが、その途中で映画や音楽などにハマったという経験はありますか?

当時はツインピークスっていうドラマが流行ってまして、これが英語で聞けたらいいなって思ったのは大きなきっかけだったと思います。主人もこのドラマがすごく好きだったので、話しのタネになったことがあります。で、話してみると私は英語で聞けているので、理解できている内容の深みが全然違っているのかなって思ったりしました。わかりやすく言うと、映画館で笑うタイミングみたいな。

――私も、部分部分は聞き取れるんですが、知らない単語が出てくるととたんにわからなくなってしまいます。

それは私も同じです。正直、わからないものもあります。分野が変わったらダメですね。でも、逆にそういうのを見るとメラメラと燃えるものが出てきますし(笑)、生徒さんに聞かれたときに知らないのは恥ずかしいっていう思いもあります。だから、努力は続けていかなくてはと思います。

――教えることによる、自分へのフィードバックということですね。

私はそれが楽しく感じるんです。勉強オタクになってはいけないと思いますが、生徒さんに実践力をつけてもらうためには、私が勉強しておかないとっていう思いは常にあります。

――私は英語の歌を良く聞くんですが、実はほとんどわかってない(笑)

それは、ある意味仕方ないですね。会話と歌ってちょっと区別が必要なので。私が歌の指導をできるかっていうとやっぱり無理で、基本的には歌の指導者に学ぶべきことです。これは将来的に私も勉強したいところなのですが、会話と歌ではタイミングがちょっと違うんです。普通に日本語がしゃべれても歌が歌えないのと同じことです。私もある程度の指導はできると思いますが、もしプロとして出て行こうというなら、やはりプロの指導に従ったほうがいいと思います。ただ、本にも書きましたが、発音は歌とか楽器をやるのと近い部分があるので、トレーニングには良いと思います。腹式呼吸は音楽に通じますよね。

――以前お伺いしたお話しだと思うのですが、お仕事で世界を回られていたときになまりがよくわからなかったとか?

それは研究員時代の話ですね。いろいろありました。例えば、アイルランドは英語じゃないといわれていますが、その意味がよくわかりました。何を言っているのかさっぱりわからない(笑)英語は地方によってなまりがありますが、向こうは向こうで私の英語には日本なまりがあると思っているはずですから。

――小池さんの英語はアメリカ英語ですよね。

そうです。西海岸の方に近いと思います。ときどきカリフォルニアかって聞かれることがあるので。ただ、ネイティブの話しを聞いてなまっているっていうのはわかりますが、どこのっていうところまではさすがにわからないですね。違うなっていうのがわかるんですが、例えば日本語でも東北訛りなんだなっていうのはわかっても、青森なのか秋田なのかまではわからない。大まかに北のなのか南なのか、そのくらいの感じです。この本の英語はカリフォルニア的というか…いわゆる、放送英語に近いものにしました。アメリカのニュースで話されている英語に近いと思います。ドラマや映画で話される言葉は地方性が出てしまうので。例えばSex and the Cityなんかはニューヨークのドラマですから、東の感じが出ています。ただ、発音なんか関係ないっていう人もいるにはいますけどね(笑)

――テレビなどで勉強するということでいうと、インタビューは最適だと言われますがいかがですか?

そうですね。インタビューはトレーニングに非常に良いと思います。野球の試合が終わったあとの選手のインタビューとか。人に意見を求められたときにどう応対するのかという点で。スポーツのインタビューは、どこの場面がどうよかったかというハイライトを語りますよね。ここが一番大事なところで、そこを押さえるというのはトレーニングをする上で大事じゃないかと思います。もし、映像や音声では単語が聞き取れないということであれば、雑誌というのも良いと思います。日本語訳のついた雑誌なんかは単語を蓄えるには最適じゃないでしょうか。それから私がおすすめなのは、『ザ・シークレット』(引き寄せの法則)という本です。同時に発売されているDVDがあるのですが、これは人がただ画面でしゃべっているだけなので、その顔真似をして発音を身につけるという方法はとても効果的なんじゃないかと思います。この本は、世界の人にメッセージを伝えようとしていますから、非常にシンプルな英語が多いのも特徴です。これを、最初は字幕を出しながらマネをすればいいのですが、もっとおすすめなのはテレビ画面と鏡を向かい合わせに置いて、鏡に画面の人と自分が並ぶように映しながらシャドーイングするという方法です。

――では最後に、21日間のトレーニングを終えた人にアドバイスをお願いします。

21日間を終えたら、そこに書いた欲望を見返して、そのテーマに沿ってまた21日間をひたすら繰り返してください(笑)それから、英語の本を読むなら多少難しくても読みたい本を読んだほうがいいと思います。興味があることのほうが続きますから。今や外国人が町を歩いているのも普通の時代ですし、ある日突然上司が外国人になる可能性もあります。是非、英語を自分のものにしていただきたいと思います。それから、英語に触れると逆に日本に興味を持つ、というのも非常に良いことだと思います。そういったことを意識して、英語トレーニングに取り組んでみてください。

【2/2】(2008.11.19)
画像

■21日間でネイティブの発音になる 英語発音トレーニングキャンプ

小池 真由美

定価 1,650円(税込)

発音さえできれば、たとえ単語だけしか話せなくても、ネイティブとコミュニケーションをとることができます。

画像

■【著者サイト】英語発音特訓塾

小池 真由美(こいけ・まゆみ)

兵庫県出身。短期大学時代に法廷通訳者だった教授に憧れ、OLとしてメーカー勤務のかたわら通訳者養成学校に通い、英検1級、通検2級を取得。24歳にて通訳者となり、イベント通訳者・建設会社現場通訳者として勤務。また29歳より、東京大学、国立情報学研究所研究員、特許庁調査員(国際・新技術担当)として勤務。

現在は有限会社エスパリエ 代表取締役社長として英語発音特訓塾を主催。発音に特化したレッスンと教材販売、目的別英語勉強法の個別指導を行っている。

ページの先頭へ戻る