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■今週の市場展望

著者:青柳孝直事務所

6/16号

『特集:秋葉原という異質なテーマパーク ―無差別殺傷事件の考察―』
  1. 東京・秋葉原は「バーチャルな世界を現実のものとして再生した」街である。第二次大戦後の秋葉原は、電化製品の安売りと共に、世界の同好仲間と交信するアマチュア無線など、いわゆるマニア専門の街としても有名になっていった。
  2. そしてその名を更に高めたのは、90年代後半。米国発のIT時代となり、電子メールの交信を始めとして、世界情報の取得などに最新式のパソコンが必要となり、当時の最新機器は秋葉原に行かないと調達できない状態となった。
  3. ところが、20世紀から21世紀に世紀が変ると、ビックカメラやさくらやなど、街中には電化製品の量販店が進出してくる。こうした量販店の拡大は、電化製品の小売価格を破壊していった。時代の急変で、都内には従来の電気屋はなくなり、そして電気の街・秋葉原の衰退も目立つようになっていった。
  4. そして神田青果市場跡地の再開発と共に、秋葉原の再生が図られた。三大要因は「ゲーム機器」「コスプレ」「中古パソコン」、特に「ゲーム機器+コスプレ」のセットだった。元々、CG(コンピュータ・グラフィック)の中のバーチャルの世界を無理矢理現実のものにするのだから、ある種の異常性は致し方ないとは言えた。
  5. しかし昼夜の別なくゲームに熱中する余り、どんよりした目をした若者と、バーチャルな世界からそのまま飛出したような格好をした(小倉優子風)の甘ったるいメークをした若い女性が闊歩する風景は、どう見ても異常だった。
  6. 渋谷センター街もある意味では異常だが、センター街の若者には、ある程度とは言え、現実感がある。しかしアキバ系と言われる秋葉原の若者には現実感が見られない。バーチャルな世界を現実の世界とすることで、ある種の無警察状態を醸成している。
  7. かくして秋葉原は見事に隆盛を取戻したが、“街の再生”のために構築された環境は異常だった。そんな秋葉原で無差別殺傷事件が起きた。(筆者のブログ上で予想したように)いつかは起きるであろうと予想した事件ではあった。
  8. 東京で歩行者天国、通称ホコテンが始まったのは1970年8月。銀座や新宿の大通りからクルマを締め出す。最初は反発も少なくなかった。しかし徐々に定着していったのは、そこが「危難を封じた安全な場所」との安心感を与えたからである。
  9. 秋葉原で無差別殺傷に及んだ男は、一連の“安全神話”を切り裂いた。事件が起きた6月8日は、7年前に大阪府池田市の小学校で児童8人が殺害された日である。その日を敢えて選んだとも見られている。強固な殺意を胸に、ひたすら凶行に突き進む姿にはカルト的な狂信さえ見てとれる。

    果たして秋葉原の再生の方法は正しかったのか。今回の事件は“町(or)街おこし”という大きなテーマに対し、重要な問題を提起している。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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