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■今週の市場展望

著者:青柳孝直事務所

6/09号

『特集:原油動乱 -世界経済を揺さぶる投機マネー-』
  1. 原油価格が連日乱高下する中、米商品先物取引委員会(CFTC)は5月29日、原油取引の強化策を発表した。取引の過程で実態と乖離した価格を作り出して利益を生むような違法行為を摘発する意志を明確にしている。またタンクに備蓄している原油を実際よりも少なく発表し、供給不足の印象を出して価格を釣り上げ、利益を得るケースもあったことから、原油の備蓄業者も調査する模様である。
  2. そして取引所に加え、新たに店頭での取引も規制対象とする。年金基金が原油などに投資する際に活用するインデックスファンドの売買動向について、商品を組成し、依託を受けて売買を代行する金融機関に報告を求める。
  3. 年明けに始めて100㌦を突破した原油は、5月5日の米投資銀のゴールドマン・サックスが「6-24ヶ月以内に150~200㌦」との予測を出したのを機に上昇ピッチを速めた。「中国・インドなどの新興国の需要増」「採掘・精製面の限界」「中東の地政学リスク」。こうした予測の理屈付けの理由はいくらでもある。
  4. しかし経済産業省の2007年度「エネルギー白書」草案に拠れば、07年後半に原油価格が100㌦に迫った時点で、需給要因は50~60㌦、投機リスクや地政学リスク分は30~40㌦になると試算している。
  5. 金融危機を封印するために米欧当局は大量の資金供給を実施したが、肝心の住宅や証券化市場には向かわず、商品へと流れ込んだ。原油の超高値相場は、インフレ圧力や対外不均衡を増幅し、長期金利を上昇させることで、新種の石油危機をもたらし始めている。
  6. 年金基金・大学基金・政府系ファンドなど、長期運用の投資家が積極的に商品指数を運用対象に組み込んでいる。運用資産の残高は、03年の130億㌦から08年3月末には2600億㌦と20倍に急増した。
  7. ここ5年間に原油先物で生じた投機需要は8億4800万バレル相当。これは、この間の中国の原油需要増である9億2000バレルに匹敵する。そしてこれらの先物投資家が買い持ちにしている在庫分は11億バレルで、米国が5年間で積み増しした原油戦略備蓄の8倍に達する。
  8. 証券化市場のバブルが崩壊し、金融市場が揺らぐ中で、機関投資家が商品を組み入れる比率は高まっている。1970年代の二度の石油危機は、カルテルを組んだ供給側が引き起こした。しかし今回の原油高騰を煽っているのは、拡大し過ぎて、実体経済と釣り合いがとれなくなっている投機マネーである。
  9. 原油130㌦が1年続けば、石油輸出国の経常黒字は1兆㌦を突破する。原油200㌦ともなれば2兆㌦になる。かくして未曾有の高騰相場を続ける原油が世界経済を撹乱し始めている。「相場は大騒ぎになった時点で反転するのが常である」としてもである。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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