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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

3/07号

『特集:現代スポーツ報奨金』
  1. 2月25日(日)午前、所要あって門前仲町界隈に出かけた。春は名のみの冷たい風が吹いている。そんな中、季節外れの“神輿”が用意され、短パン・生足のお兄さん連中がたむろっている。なんで??考えてみればその日、東京マラソンの日だった。永代通りは午後4時くらいまで全面通行止めになる。この界隈は早く脱出しなければ…
  2. 同日は平昌冬季五輪の閉会式の日。前日には“おまけ”のような女子スケート・マススタートの金、女子カーリングの銅で日本中が沸き返っていた。2020年の東京五輪を控え、格好の景気付けになっており、日頃の憂さも晴れる思い…
  3. そうした中での東京マラソンだった。興味も期待も持たれていなかった。どうせまた平凡な記録だろう。主催者側も選りによってこんな日に…。五輪中継もなく、マラソンでも見るかとTVをつけた。マラソン終盤の、ゴールの東京駅が射程距離に入った頃。ところが中継アナが妙に興奮している。はぁ??16年振りの日本記録更新だって!?
  4. ご存じマラソンは42.195㌔を走る耐久レース。単純換算で百メートルを18秒フラット以下で走れば2時間6分台での記録になる。2時間6分台の記録は1999年犬伏孝行、2000年の藤田敦史、そして日本記録の2002年高岡寿成の2時間6分16秒の3名。
  5. その日本記録を、設楽悠太が16年振りに5秒更新した。16年振りというくらい、日本のマラソンは長期低空飛行の最中。設楽悠太(26)は東洋大学出身の箱根駅伝ランナー。青白さが目立ち、一流アスリートのオーラは感じられない。平坦なコースで、気温も走りには絶好の条件の中で新記録を叩きだした。単なる“まぐれ”か、“一発屋”か。
  6. 東京マラソンの話はそれで終わり。の、はずだった。ところがマスコミが騒ぎ出したのは日本記録更新で「1億円の報奨金が出る」というテーマになったからだった。この報奨金は、東京マラソン第2位の賞金と日本記録更新のボーナス計900万円とは別に、日本実業団陸上競技連合から贈呈される。
  7. 日本の陸上陣は、男子400米リレーを除いては準決勝進出が目一杯。マラソンが日本のお家芸と言われたのも昔の話。今や黒人選手の独壇場。とは言え、2020年の東京五輪を控え、“ニンジンをぶら下げても”記録向上に邁進しなければならない。しかも、今回の平昌冬季五輪で、メダルラッシュとなっては、手段を選ばず(!?)か…
  8. 今回の平昌冬季五輪のメダルラッシュで突然のように報奨金が話題になった。日本オリンピック委員会(JOC)は、金500万、銀200万、同100万。日本スケート連盟はJOCに準拠して同額。ただ加盟団体によって報奨金はバラつきあり、一躍有名になった女子カーリングチームにはJOCの報奨金の他に、各自に全農から米100俵贈呈だそうで…
  9. 過去の五輪は「アマチュアで金銭が絡まない」ことが前提だった。それも今は昔の話。選手のご苦労を思えば多少の報奨金は致し方ない…が、こんなんでいいんでしょうか?
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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