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9/11号

『特集:「やってみなはれ」主義』
  1. 日経朝刊を読み始めてかれこれ半世紀になるが、最終面は連載小説が掲載されてきた。日本で唯一の経済新聞での連載小説は、過去も現在も、そして多分将来も、担当することで“(日本の)超一流”の冠がもらえる“大作家への登竜門”と思う。
  2. ここ1カ月は伊集院静の「琥珀の夢」(9月5日最終回)。鳥井一族=サントリーの現在までの流れを綿密に描いた大作だった。赤玉ポートワイン→白→角瓶→オールド(ダルマ)→リザーブ→山崎と流れる一連の動きを、大正・昭和の日本の情勢も加える中で、丁寧に描いてあった。久し振りに読み応えある連載だった。
  3. その昔、老舗クラブで「オールドはないのか?」と聞いたら、「オールド??それ何??」と返されたことがあった。日本でウイスキーと言えばサントリーであり、サントリーの最大のヒット商品がオールド=ダルマであることを知らないで、飲座で商売すんのかよと、その店の中身の薄さにあきれ、以降、全く行かなくなってしまった。
  4. サントリーの歴史は日本のウイスキーの歴史。だが、作者の最大に伝えたかったのは、多分「後継者をどう育てていくか」ではなかったか。「やってみなはれ」主義が有名な同社が、若者をいかに育て、チャンスを与えるかという、簡単に見えて難解なテーマにどう対処してきたかが明快に描かれていた。伊集院静も“超一流”の仲間入りである。
  5. 8月31日のアジア最終予選B組の日本VSオーストラリア戦。ここで勝てば6大会連続でW杯 の出場できる大一番。ホームというアドバンテージはあるものの、“シュートを打たない、打っても外しまくるフォワード(!?)が売り”の日本であり、本田や香川が、ゴールを外して頭を抱えるシーンをまた見るのかと、ヒヤヒヤしていた。
  6. ところが“前半・後半それぞれ1発=合計2発”で勝利し、ロシア行の切符を手に入れた。先制ゴールは22歳浅野、21歳の井手口。最初はハリルホジッチ監督の“やけくそ”の布陣かと心配したが、若さゆえのエネルギー大爆発で、最初から最後までピッチを走りまくった。まさに「時代が変わった=世代交代」と思わせる一戦だった。
  7. 8月31日から9月3日までの第45回フジサンケイクラシック。どうせまたおざなりの日本的な大会だろうと高を括っていた。が、今年は違った。会場の富士桜カントリーが大改造され、7566ヤードパー71の難関コースに生まれ変わっていた。世界のメジャークラスの設定で、優勝スコアは3アンダーで、アンダーパーが最終的には6人。
  8. ディレクターの戸張捷が自信満々に言うだけのことはあった。そして付け加えれば、初日から最終日まで、主催側のフジTVが早朝からフルで放映したことも画期的だった。「世界に伍してやるときはこうあるべきだ。やってみなはれ」のスタンスだった。
  9. 8月終盤から9月前半、各種のスポーツで「後継者を育てたい」「やってみなはれ」との意思が明確に見え、実に心地よかった。これも伊集院静効果かもしれない…
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
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