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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

2/20号

『特集:作・演出・自演“トランプ劇場”の今後は如何に?』
  1. 2月14日、衆院予算委員会。金田勝年法務大臣と稲田朋美防衛大臣の“火だるま”劇が繰り広げられた。専門知識欠如が明白な、田舎の町会議員風(!?)の法務大臣と、一時は日本初の女性首相候補最右翼とまで言われた“涙目連発”(!?)の”防衛大臣の、ノーガードで滅多打ちされる姿。野党のここを先途の“弱い者いじめ”の感の強い展開。
  2. そしてアシストに動き回る安倍首相の疲れた様相も再々写し出された。2泊4日の過密スケジュールの米国旅行を敢行し、休日もとらずに走る回る安倍首相が少し可哀そうになった。確かに任命責任はある。が、時差ボケもあろうし、さぞやお疲れだろうに…
  3. 世界が注目した日米首脳会談だった。いきなりのハグに19秒も続く固い握手。過激派トランプ大統領からどんな無理難題が持ち込まれるのかと、日本政府ならずとも国民さえも戦々恐々としていた(と思う)。ところが蓋を開ければ、同窓会で旧友に再会したごときの厚遇だった。少々わざとらしい、過度と思えるくらいの演出ではあった。
  4. 日本時間11日の午前2時頃から始まった共同記者会見。ライブで観ていたが、なんかむずがゆくなるような、予想外の展開。結果的には(表面的には)世界に向けて日米の親密度をアーピルしたことになり、安全保障で強固な同盟を確認はしたものの、通商や為替での摩擦等、一連の“爆弾”をスルーした”胡散臭さ満載”の会見だった。
  5. 極めつけは“ワンハーフ=27ホール”5時間のゴルフ。うち最後の9ホールは両首脳だけだったという。今回の訪米前、安倍首脳の祖父・故岸信介首相が、当時のアイゼンハワー大統領とゴルフ外交をした様子が再三放映された。“世界の舞台での外交”という一族の宿願が適ったことにはなったものの、今後の成り行きは多数の「?」がつく。
  6. 自著で「私は全ての人々を喜ばせる外交官ではない。勝つまで戦い続ける」。そんな「ゼロサム」の思考方法。そしてレーガン政権の自由貿易を標榜しながら、自動車や半導体の保護、ドル高の是正に動いた「「1980年代への懐古」を標榜するトランプ大統領。
  7. 「日米摩擦の続きをやりたがる人たちが集う」トランプ政権の流通商政策は、やはり危うい。グローバ化や市場化が加速し、経済の相互依存関係が深まる現在の世界で、超大国がゼロサムゲームに走れば、世界経済はたちどころに崩壊する。
  8. 一連のゴルフ外交をみながら自分が社会人になった当時を思い出していた。事あるごとに言われたのは「麻雀はできるか?」「即刻ゴルフの練習を始めよ!」だった。まずは相手と親しい友人となる。基本中の基本。安倍首相の一連の対応は間違っていたとは思わない。だが、「トランプと最も近い首脳」のレッテルは今後にどう響くか。
  9. 側近の不祥事ドミノが続くトランプ政権。正式な大統領就任からまだ1カ月も経過していない。「米大統領選挙は完全に終わったわけではなく、まだ途中経過程度に考えた方がいい」。月刊・文芸春秋での立花隆氏の指摘である。大変動はこれからである、多分。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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