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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

7/25号

『特集:一気に色濃くなる昭和の時代の終焉模様』
  1. 7月13日(水)、19時のNHKニュースは冒頭で「陛下が生前退位の意向」と大々的に伝え、「お気持ちの表明も検討」まで踏み込んだ。間違いなく重大スクープだった。
  2. 陛下が天皇に即位されて以降の平成の時代は、バブル経済崩壊後の景気低迷、リーマンショク、高齢化の進展など、日本の繁栄に陰りが見えた時期だった。また同時期は阪神大震災、東日本大震災をはじめ、地震や火山活動などの自然災害も相次いだ。その中で陛下は、美智子皇后と共に被災地を訪れ、膝を折って被災地の方々を慰労された。
  3. また「戦争の惨禍を忘れず語り継ぎ、過去の教訓を生かして平和のために力を尽くす」(99年11月)として、日本全国の被爆地を巡回されたばかりか、海外の第二次世界大戦・激戦地を訪問、戦没者を慰霊された。
  4. 団塊の世代が皇室を意識するのは、昭和34年(1959年)の、陛下と美智子皇后とのご婚礼の日からだったと思う。民間から初の皇后誕生だった。皇室に嫁がれるその日、皇后の生母・故正田冨美(1981年からは富美子)さまの、「お国のために頑張りなさい」とのお言葉が今でも脳裏を離れない。激動・昭和の時代を代表する大きな出来事だった。
  5. 聡明で美しく、そして健康そのものだった美智子さまが、ご婚礼の日から50余年を経て、今は亡きご生母さまとそっくりになられた。最初は顔つきが違うなと思ったものの、やはり母・娘であった。過労の日々が続き、陛下と皇后が揃って総白髪になられ、疲労困憊の後ろ姿を見せられながらも、凛として公務につかれる姿は痛ましく思える。
  6. 皇室典範を中心に、難しい問題は残っている。だが、時代は変わったのである。欧州ではここ数年、高齢な国王らの退位が相次いでいる。日本国の皇室に関しても、高齢や健康上の配慮があってしかるべきであり、「公務の定年制」は自然の成り行きであろう。
  7. 7月に入って、昭和の時代の終焉を示す訃報が相次いでいる。昭和34年にデビューした双子のデユオ、ザ・ピーナッツがこの世を去った。7月11日、妹の伊藤ユミ(本名・伊藤月子)さんが5月18日に逝去していたことが明らかとなった(享年75)。姉のエミ(本名・澤田日出代)さんは4年前に他界している。昭和36年から始まった日曜午後6時半からの「シャボン玉ホリデー」は戦後の昭和の時代の代表的な番組だった。
  8. そして7月7日、放送タレントで作家の永六輔氏が亡くなった(享年83)。世界的な超大ヒット曲の「上を向いて歩こう」は、永六輔作詞、中村八大作曲、坂本九・歌唱で「6・8・9の歌」として今でも歌われている。ついで7月12日、タレントで元参院議員の大橋巨泉(本名克己)が亡くなった(享年82)。高度成長時代に、組織に従属せず、ゴルフ・麻雀・釣りなど、自分の趣味を商売道具に、逞しく生きる稀有な人物だった。
  9. 時として過剰と思えるくらいワセダ臭さを醸し出すご両人が、手を携えるようにしてあの世へと旅経った。2016年夏。昭和の時代の終焉が色濃くなっている。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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