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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

8/30号

『特集:超円高再来に無策のニッポン。崩壊への序章か』
  1. 8月24日の為替市場で円は83円台突入、円高、円高と日本中が騒いでいる。確かに80円割れの可能性を秘める流れではある。とは言っても、ここにきての85円台から5円ばかり円高になるだけの話ではある。80円割れの円=70円台の円とは、1995年4月19日の79.75円、ラフに言えば1㌦=80円になった局面を指す。
  2. 大局的に最大の円高リスクを考えてみたい。戦後、米財務省の指示によって1㌦=360円と定められた。なぜ「360という数字」が出てきたかは諸説あるが、ギャン理論を取り入れたとする説が有力である。「相場は宇宙」&「相場の展開は360度の円で考えれば解り易い」とするギャンの論法が取り入れられたとされている。
  3. とすれば、360円から始まった円の大きな節目は、素数の「1,2,3,5」で考えれば解り易い。つまり360÷2=180円、360円÷3=120円、360円÷5=72円。日本が変動相場制に移行し、東京外為市場が始まるのは1973年。以来約37年、確かに180円や120円は大きな節目となってきた。そして次なる大きな節目は72円、ということになる。
  4. 日本の現政権、民主党政権には専門家(相場のプロ)がいないように見える。超円高で、かつ超デフレの日本で、内需拡大だ、市場介入だと騒いでみても効果は期待できない。一方で、1980年代以降、円高局面を何度もくぐり抜けてきた大企業(大手製造業、商社等)は無力ではない。無策の日本政府にとうに見切りをつけている。
  5. 明確に言えば、「必要な生産拠点の海外移転」がほぼ終了している。言葉を変えれば、円高によって損失が出ない態勢が出来上がっている。円高によって、日本国内の輸出関連企業は損失が発生、結果的に、日本国の税収が減るという流れにはなる。ただ企業側は、日本国内の損失は海外拠点での利益でチャラにする。至極簡単なシステムである。
  6. こうして考えていけば、今回の円高・株安はある程度は自然の流れではある。円高によって日本の産業の空洞化の進捗、特に地方の空洞化が進む、イコール日本の税収減、イコール日本株安である。但し、(この点だけは誠に残念ながら)産業の空洞化によって、菅首相が口を酸っぱくして叫んでいる新卒者の雇用は増加しない。
  7. こうして考えていけば、今回の円高・株安はある程度は自然の流れではある。円高によって日本の産業の空洞化の進捗、特に地方の空洞化が進む、イコール日本の税収減、イコール日本株安である。但し、(この点だけは誠に残念ながら)産業の空洞化によって、菅首相が口を酸っぱくして叫んでいる新卒者の雇用は増加しない。
  8. こうした状況下で、72円に向かって70円台に入った途端、円が一気に売られる可能性を秘めている。大きなテーマは「1㌦=70円時代に、日本国内にしか拠点を持たない企業は生き残れない」。それは日本国全体の衰退を意味する。イコール日本の円の衰退、というシナリオである。今回の円高局面、日本崩壊の序章に見えて仕方がないのである。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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